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夢 分
析
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ある人の夢です。ケース全体をモザイクで表現します。(複数の方の夢を組み合わせてあります)
自分の家に至る野の中の道を、姉と一緒に手をつないで歩いている。山の中に家がある。家につくと父と母が大喧嘩していた。 大きな声が家の外まで聞こえてくる。相当ひどいようだ。私は怖くなってそこにうずくまる。どうしたらよいか分からない。 姉が、ここには私がいるから、おまえは隣の家に避難しておけという。 私は隣の家に行く。するとそこには、いつも仲が良いいとこのお姉さんがいた。「どうしたの?」と聞いてくれる。 私が事情を話すと、慰めてくれる。私はどうして良いか分からずに、そこで泣いていた。 いとこのお姉ちゃんが、隣の家の様子を見に行ってくれた。けんかが終わったようだと知らされて、家に戻ることにした。 この方の事情を聞くと、小さい頃実際にお父さんとお母さんがしょっちゅうけんかをしていたそうです。 実際にも、どうしたらいいか分からない無力感を覚えていたと話されました。 世界観 それで私は、「違っていたらおっしゃって下さいね。あなたは、もしかして、この世は突然災厄が降りかかってくるところだと感じてはいらっしゃいません か?何か自分には分からないままに、自分にとって怖い出来事が起こる危険な世の中だと思ってらっしゃいませんか?」 とおたずねしました。すると、彼は、「そうです。そう思っています。危険な世界だと思っています。」 と同意してくださいました。 夢にしろ、小さい頃の記憶にしろ、それが記憶されているということに意味があります。 このような記憶を保持することによって、人は自分の人生スタイルを維持しているのです。 人生スタイルというのは人がこの世や周囲の他人や自分のことを見る時の信念体系です。周囲のことを認識するための認知バイアスです。 私たちは、この認知バイアスなしに人生を見ることは不可能です。 この方の夢を見ると、この方の夢に出てくるこの方の「この世」ととらえ方・世界観が出てきます。 この方がお姉さんと手をつないで家につくと、お父さんとお母さんが大声を出してけんかしているという怖い場面に出くわします。 それで、「自分には分からないままに、怖い出来事が起こる危険な世の中」と思ってらっしゃいませんかと問いかけたのです。 もちろん、セラピストが勝手に解釈するのではなく、クライエントとの共同作業で人生スタイルを解釈していきます。 他者観 次に私は「もしかしてあなたは、あなた以外の人間には二種類あって、あなたにとって困ったことをする訳の分からない人間とあなたを助けてくれる人間がい ると思っていませんか?」 と問いかけました。 「問題の彼は、もしかして訳の分からないあなたに被害を与える方の人間なのではないですか?」 とも話しました。 この方は、職場の人間関係で困っておられて、ことあるごとに意地悪なことをしてくる男性の同僚のことで困っているという相談でした。 それで、私はその「意地悪なことをしてくる」と認識してらっしゃる男性同僚のことを、大声でけんかをする父母と重ね合わせて、人間観として持ってらっ しゃるのではないか。と思い伺ったのです。 するとその方は、膝を打って同意されました。そして、暗そうな表情をされましたので、「もしかして、助けてくれる人間の方が少なくて、訳の分からない信 頼できない人間の方が多いと感じてらっしゃいますか?」 と申し上げると、ホッとため息をつきながら「そうなんですよ。私はまわりの人間が信用ならない、何を考えてるのか分からないと感じているんです。」 「味方をしてくれる人は、ほんの一部なんですね?」と申し上げると、「そうです。今の職場にも一人だけ私に好意的な人がいるのですが。」とおっしゃる。 「その人はあなたのことをかばってくれるわけですね。」と申し上げると、「ええ、いろいろとカバーしてくれます。」(後で、このことに焦点をあてて、この 方が人間観をより肯定的な方向に変えて行かれるお手伝いをしました。) 夢やエピソード記憶に出てくる人物は、その人の人間観・他人観を象徴しています。そして、それは現在の人間関係に影響を与えていますので、現在の人間関 係と絡めて、クライエントと一緒に人生スタイルの「人間観」の確認の作業をします。 自己概念 最後にこのように問いかけました。「もしかして、あなたは、自分のことを何か困ったことが起こっても、自分ではどうすることもできない無力な存在だと感 じていらっしゃいませんか?」 これは、夢の中に出てくるその方自身があまりにも無力で、圧倒的なパワーを持った父と母という存在の起こす訳の分からない混乱に、困惑しているだけだっ たからです。 助けてくれる存在は、姉だとかいとこだとか、父母に比べると少々パワー不足です。しかし、そのパワー不足の他人に何とかしてもらって、解決はしないまま なんとか切り抜けています。それでこのように尋ねたのです。 すると、その方は、とてもきつい表情をされて、次に涙を流されながら「私ってなんて情けない存在なんでしょうか?」と絞り出すようにおっしゃいました。 ライフスタイルには他に「自己理想」という自分とはこうあるべきだとかこうありたいとかの信念群があります。例えば自分は力がないので誰か守ってほしい とか、私は完全にやり遂げなければならないとかの信念を持っているのです。 この自己理想があまりにも現実の自分とかけ離れていれば、それは理想が高すぎて目の前の問題から逃避してしまうことにもつながるし、依存的であればまた 自立しにくいという傾向が出てくるわけです。 夢解釈を解決に結びつける この方は「自殺」、「他殺他傷」、「正気を失う」という三つの逃避口が開いたまま(TA心理学には、「何か耐えられないことがあったら、自殺しよう!」 などの決断を持っていることを逃避口と言います。それを確認するシンプルなテクニックがあるのです。)でしたので、 ていねいにリペアレンティング(TA心理学の技法)やゲシュタルトワーク(ゲシュタルト療法のテクニック)を使って勇気づけていきながら、この方が人生 スタイルを少しずつ変えて行かれるのを支援しました。 最終的には、三つの逃避口を閉じられた後、急速に実生活でも人間関係などを改善されて行かれて、終結に至りました。「卵が先か鶏が先か」の議論になるの ですが、人生スタイルの改変と行動レベルの改変はほぼ同時に起こります。くわしいカウンセリング経過は省きます。 ただ、夢分析によって、無責任に人生スタイルを引き出しただけで終わらなかったことは付け加えておきたいと思います。 私は積極的に夢分析や早期回想分析を行う方です。なぜなら、分析によって今の人生スタイルを認
識し、人生スタイルを変えたほうがうまくいくと信じているからです。
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