| 3月の終わり頃、ある中学生のカウンセリングをしているとき、「私、なぜあんなことしたんだろう。」とポツリ。2階から飛び降りようとしたことを言っているのです。
僕「うーんそれは難しいね。」「朝食べたものがいけなかったのかもしれないね。」「昨日見たテレビの番組が悪かったのかも。」「もしかすると、10年前にあなたを店に1時間ほど置き去りにしたお父さんとお母さんのせいかなあ?」。 「先生、私まじめに言っているんですよ。」と少しむっとしている。 「僕だってまじめに言っているよ。」「あなたが、なぜ って言うからいろんな原因を考えているんじゃないか。原因ってたくさんあるからね。人間の行動ほど複雑なものはないから、原因を探せばそれこそ百万とあるからね。だいたいお母さんが君を生まなければ、こんなことは起こらなかったんだし、お母さんがお父さんと結婚しなければその可能性もなかったんだし。」 「でもね。あなたが「私、何のためにこんなことしたのかなあ。」って聞いてくれれば、もっとましなことを言ってあげられるかもね。」
じっと考え込んだ彼女はしばらくして言いました。「私、何のためにあんなことしたんでしょう?」 「うん。幸せになりたかったからじゃない?」 彼女の体がびくっと動きました。 「ねえ。ずっとずっと思ってきたでしょう。幸せになりたいって。」 彼女の目からなみだがぽろぽろとこぼれました。
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| それは、考えても仕方ないからです。厳密に言うと、原因には目的因(いわゆる目的)とその他の原因があります。目的因以外の原因は、全て過去にあります。そして、過去のことは変えることはできません。
たとえば、なぜ不登校になったのか。幼児期の母親の育て方が悪かったとします。(百万ある原因の一つにしか過ぎませんが)
だから、目的因以外の原因は考えません。 原因を考えなければ、解決しないじゃないか。とおっしゃる方がいるかもしれません。いま述べましたように、原因を考えても解決しないのです。 理由は、たくさんの原因が絡み合っているから一つの原因が仮に取り除かれたとしても解決しないことが圧倒的に多いし、たいていの原因は過去にあって取り除くことが不可能な場合が多いからです。
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| それでは、どうすれば解決するのか。行動の目的を探っていくと解決するのです。
中学生の彼女が二回から飛び降りようとした究極の目的は「幸せになるため」でした。そのことを本人が確認できると、「あ、私はみんなに注目して欲しくて二階から飛び降りようとしたんだ。」と認識が深まります。これはカウンセラーから指摘しなくても気づくようです。 すると、「他に幸せになる方法として適当な方法はないかな?」と考えるようになります。そこで、カウンセラーの「友達を作ってみよう。」という代替案を受け入れる素地ができるのです。 不登校児も同じです。自分の不登校が、究極的には幸福になるための手段で、親の注目を引くためだったのか、先生との権力闘争だったのか、世間への復讐だったのかということに気づくと、「他に適当な代替案はないかな?」という建設的な未来肯定的な段階に進むのです。 どこにも原因を考える必要はありません。 まあ、目的も目的因という原因ですけどね。
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※モザイクとは、クライエントのプライバシーを守るために、いくつかの事例を混ぜたり、情報を変えたり、付け加えたり、隠したりして記述する方法です。